
一般社団法人日本ウェルネス産業推進協会(JWIA)は、2026年7月13日(月)、東京・日本橋ライフサイエンスハブ(COREDO室町3)にて、設立記念シンポジウム『ウェルネス産業におけるエビデンスの在り方』を開催しました。産業・アカデミア・行政の関係者〔来場者数:約190名〕にご来場いただき、これからのウェルネス産業に求められる“エビデンス(科学的な裏づけ)”のあり方を、立場を越えて議論する一日となりました。
■開会挨拶
当協会 理事 大澤裕樹氏より、開会の挨拶を述べました。
続いて、ご来賓として消費者庁 長官 堀井奈津子氏よりご挨拶をいただき、便利になった消費生活のなかで消費者の安全・安心な環境をどう築くかが課題であるとして、科学的根拠に基づいた、消費者に信頼される市場づくりへの期待が示されました。

■基調講演
当協会の理事を務める3氏が登壇しました。
・大谷泰夫氏(神奈川県立保健福祉大学 理事長 / 当協会 理事長)
「ウェルネス産業におけるエビデンスと社会実装の方向性」
医療が公的に担う中核領域と、民間が主体的に担う“ウェルネス”を切り分け、後者にこそ産業としての成長余地があると述べました。今後の成長が期待される分野だからこそ、医療と同じ方法論や基準を一律に求めるのではなく、その分野に適した科学的評価の考え方を確立すべきであると論じました。
・森下竜一氏(大阪大学大学院 医学系研究科 臨床遺伝子治療学 教授 / 当協会 副理事長)
「ウェルネス領域におけるエビデンス構築の課題と可能性」
個人の努力任せにせず、社会の側に健康になれる土台をつくる「ゼロ次予防」という考え方を紹介。あわせて、健康状態を“見える化”する取り組みとして、老化の進み具合を測る「老化時計」や、視線から認知機能を測る技術などを例に、効果を数値で確かめることで、ウェルネス産業の信頼と継続性が高まると語りました。
・内藤裕二氏(京都府立医科大学大学院 医学研究科 生体免疫栄養学 教授 / 当協会 理事)
「ウェルネス研究の最前線と未来 ― ロンジェビティ・サイエンスが拓く新たな可能性 ―」
単に長生きするのではなく、社会とつながり価値を生みながら生きる「Longevity/ロンジェビティ」という考え方を紹介。京丹後市での長寿研究や世界の長寿地域の調査から、食事や腸内環境といった生体の要因だけでなく、生きがい(IKIGAI)や人とのつながりのような社会的側面も健康長寿に大きな役割を果たす可能性を、データをもとに示しました。

■行政セッション
消費者庁・厚生労働省・経済産業省の3省庁から担当者をお迎えし、既存制度における科学的根拠の考え方から、健康づくり、産業振興まで、それぞれの立場からお話しいただきました。
・今西保氏(消費者庁 食品表示課 保健表示室長)
「機能性表示食品制度にみる科学的根拠と適正な情報提供」
食品の機能性を表示する「保健機能食品」の3制度(特定保健用食品・栄養機能食品・機能性表示食品)について、それぞれの特徴と違いを解説。近年の見直しで、表示の分かりやすさや品質管理の要件が強化されていることをご説明いただきました。
・塩澤信良氏(厚生労働省 健康・生活衛生局健康課 栄養指導室長)
「健康寿命延伸に向けた国民の健康づくりとセルフケアの推進」
国の健康づくり政策「健康日本21(第三次)」の話題を軸に、健康寿命の延伸に向けた取り組みを解説。個人の行動の改善だけでなく、社会環境の質の向上に重きを置いていることをご説明いただきました。
・福田光紀氏(経済産業省 ヘルスケア産業課長)
「成長戦略としてのヘルスケア産業と市場創出に向けた取り組み」
ヘルスケア産業を国の成長戦略に位置づけ、企業による「健康経営」や健康投資の拡大に向けた取り組みを、具体的な支援策とともに紹介。明確な科学的根拠を持ち、効果が期待できるヘルスケアサービスを社会に実装していくことの重要性を示されました。

■パネルディスカッション『ウェルネス産業におけるエビデンスの再定義』
以下の登壇者が、“まだ基準のない領域に、どう新しい物差しをつくるか?”をテーマに議論しました。
・森下竜一氏/大谷泰夫氏/内藤裕二氏/今西保氏
「信頼できるエビデンスをどのように構築するか?」を論点に、医療の方法論や基準をそのまま持ち込むのではなく、技術の進歩や実際の生活データを活かした新しい評価軸をどう探るかについて、立場を越えた議論が交わされました。

■特別賛助会員および賛助会員の紹介
プログラムの最後には、協会の活動を支える特別賛助会員・賛助会員の皆様をご紹介しました。現在、特別賛助会員23社・団体、賛助会員14社・団体にご参画いただいています。

■懇親会
シンポジウム終了後には懇親会を開催し、登壇者と参加者が業種の垣根を越えて交流しました。

当協会は、すでに制度や基準が整った領域ではなく、運動・睡眠・メンタルヘルスをはじめ、まだ明確な“物差し”のないウェルネス領域において、行政を含む関係者との対話を重ねながら、新たな基準づくりや評価のあり方の整備に取り組んでまいります。産業・アカデミア・行政が同じ場に集まった今回のシンポジウムは、その第一歩を象徴する機会となりました。
